営業研修 営業マネージャー必読 部下の育成方法  9/9

営業管理職に求められるものとしては営業成績の達成と部下の育成があります。営業成績の達成は部下のやる気と営業力がなければ達成は望めません。

 

また、部下を放置していては、部下の育成は望めません。一時、日本のサラリーマンのモチベーションの低さや効率の悪さが問題になりました。部下の心の叫びを受け止めることが必要です。

 

ここで、管理職のための従業員育成・モチベーションアップの情報をまとめましたので参考にしてください。

 

 

1 従業員心理とモチベーション

1-1 収入より自己実現

さて、従業員の心の叫びを実感してください。


2009
8月、ある会社の従業員意識調査を行いました。目的は従業員のモチベーションアップです。業務の遂行や業務改善、顧客満足などの原動力は人材です。

 

企業における人材の教育育成は不可欠ですが、画一的な教育を行っているのが現状となっています。従業員の持つ特性は十人十色であり、その特性に応じた指導教育を行うことは効果的な育成につながります。働く目的は何か、会社に望むことについてのアンケート調査です。次の項目のどれを重視するか、重視する順位を評価してもらいました。

 

A:自分を尊重してくれる                       

B:やりがいのある仕事ができる                 

C:公平な評価が得られる                       

D:スキルの向上につながる                     

E:自分の話を聞いてくれる                     

F:自主的に仕事に取り組める                           

G:仕事の成果がフィードバックされる                           

H:上司の指示が的確   

I:実力相応の仕事が与えられる 

J:会社情報が得られる

K:雇用が保障される

L:給与水準   

M:福利厚生   

 

これらの項目を重要視する順に並べてもらい、それを点数化しました。その結果、ベスト5は次の通りです。

 

「B:やりがいのある仕事ができる」864点

「L:給与水準」817点

「C:公平な評価が得られる」689点

「D:スキルの向上につながる」673点
「K:雇用が保障される」643点

 

つぎの表のとおり、各項目は「ABC」「DEF」「GHI」「KLM」に分けられることから、それぞれ自己実現、積極的業務、適切指導、収入待遇と命名しました。

 

このグループの得点と平均は次の表のとおりです。そして、従業員の就労目的は

「自己実現>収入待遇>積極的業務>適切指導」の順であることがわかりました。

 

自己実現 559 適切指導 556
864 583
689 540
平均 704 平均 560
積極業務 673 収入待遇 643
465 817
576 573
平均 571 平均 678

 

従業員は、「自分を尊重してくれる」「やりがいのある仕事ができる」「公平な評価や称賛が得られる」などの「自己実現」ができることを望んでおり、「雇用が保障される」「給与水準」「福利厚生」などの「収入待遇」より多くなっています。

 

これに対応することで、会社全体の従業員満足は進むことになることがわかりました。

 

1-2 育成プロセス

次の図は、印刷関係企業の課題から導き出した育成モデルです。これを見ると、若い従業員を育成していく上で何が必要かわかります。

 

 

1.       成功体験
成功体験を繰り返すことで、自信を持つことができ、仕事の面白さ、やりがいにつながっていきます。課題達成による達成感や上司先輩からの評価、褒め言葉などが動機付けになります。成功体験を実感できる仕事を付与することです。

 

2.       成長の自覚
成長の自覚を持つことで、自信を持つことができ、仕事の面白さ、やりがいにつながっていきます。業務スキルレベルアップをスキルチェックリストで確認する。スキルアップを可視化することで楽しさを経験させます。上司先輩からの評価、褒め言葉なども動機付けになります

 

3.       将来モデル
先輩をモデルにします。先輩を目標にすることで、「自分にもできる」という自信ができます。そして、仕事の面白さを体験して、やりがいにつながります。

 

4.       知識の獲得と実行
スキルチェックリストのチェック数が多くなることで、仕事が面白くなり、やりがいに結びつきます。      

 

5.       コミュニケーション
先輩、上司との雑談・体験談を通じて、自分にもできるという安心感を得て、仕事の面白さややりがいにつながっていきます。

 

2 部下が仕事に喜びを感じるとき

部下を育てて、やりがいを感じさせるためには、仕事の楽しさを味あわせることです。そこで、どのようなときに部下が喜ぶのかを知っておく必要があります。

 

2-1 仕事の面白さを体験

  1. 1 スキルアップする喜び
  2. 毎日同じことをしているが、スキルアップしているのか、していないのかが実感できない状態では、将来に不安を感じるのも無理はありません。
  3. これに対して、自分の目標がどこにあって、現在はどのレベルにあるのかがわかれば、やる気が出てきます。
  4. 例えば、ドラゴンクエストなどのロールプレイング・ゲームでは、レベルアップすることが楽しくてゲームに対するモチベーションが高くなります。仕事のスキルでも
  5. 現在のレベルが一目瞭然でレベルアップする仕組みができれば、部下も成長する喜びを享受することができます。
  6. スキルアップのステップを明らかにして、評価基準を作成している会社もあります。

 

2 仕事を成し遂げた喜び

難しい仕事にチャレンジして成し遂げた時の喜びは格別です。いわゆる成功体験を繰り返すことで、仕事に自信がつき、面白さを感じることになります。また、団体で争うスポーツに見られる心理ですが、チームでの勝利は喜びが大きく、仲間同士の称え合いは喜びを増加させます。先輩の喜びは後輩に目標達成への動機付けを強めます。

 

3 仕事を任せられる喜び

自分の努力が実を結び、実力が認められることは嬉しいことです。難度の高い仕事を任せられることは、自分が認められたということであり、仕事に対する強い動機付けとなります。いわゆる「抜擢」です。しかし、任せっぱなしにすることなく、チェック、アドバイスなどフォローが必要です。

 

4 話を聞いてもらえる喜び

中には、部下に対して「お前は、俺の言うことを聞いていればいいのだ」というひどい上司もいました。人間は他人から認められたいものです。話を聞いてもらうことは、その人に認められたことです。特に、上司に話を聞いてもらうことは、嬉しいものです。

 

5 将来の自分の姿を確認する メンタルモデル

先輩の存在は、後輩にとって将来の自分の姿をイメージさせ、現在の不安を解消させ、将来への希望を持たせる効果もあります。みなさんも先輩と飲みに行き、悩みを相談することや「俺も昔はそうだったよ」と言われて、勇気づけられたりした経験があると思います。「あの先輩すら同じように悩んでいたんだ」と勇気づけられることでしょう。


しかも、先輩とコミュニケーションを通じて、企業理念や企業文化が継承されていくことに貢献します。さらに、後輩を教育する先輩にとっても、スキルや知識が向上することにつながります。教えることで、日頃の仕事を見直すことにつながり、問題点を再認識することになります。後輩を教育するため、問題点を放置することはできません。そのため、問題点を深堀して、結果として、スキルや知識が向上することにつながるのです。

 

3 知識を獲得させる方法

3-1 記憶の仕組み

「記憶の仕組みについて」をご覧ください。

「知識はあっても、知恵がなければダメだ」と言われますが、知識と知恵の違いとは何でしょうか?知恵とは応用・活用できる知識の事で、生きた知識と呼ばれることもあります。

 

そこで、まず、記憶について説明しましょう。記憶の機能は、記銘、保存、想起の3つに分かれます。

簡単に言えば、覚えること、その記憶を保持続けること、そして、思い出すという3つの機能のことです。

 

音や光などの感覚刺激は、耳や目などの感覚器で受け入れられます。これらの刺激は神経を介して、一旦、感覚記憶で受け入れられますが、保持時間は非常に短く数秒で消えてしまいます。

感覚記憶のうち、意識したものについては短期記憶に転送されます。

 

しかし、短期記憶もまた、十数秒で消えてしまいます。短期記憶に残った記憶のうち、注意を払った情報は符号化され、長期記憶に保存されます。そして、外部刺激などにより長期記憶から関連する刺激が取り出され、短期記憶に移されて処理されるわけですが、これが想起です。

 

この仕組みは、パソコンと同じです。私たち人間がうけた刺激が、感覚記憶に残り、私たちはさまざまな情報を入力します。これが短期記憶でそのデータを「名前を付けて保存」します。これが長期記憶にあたります。そして、必要に応じて、データを引き出して、使用するのです。

 

長期記憶の情報貯蔵量は無限大で、半永久的に貯蔵されるとされています。

これに比べて、短期記憶の情報貯蔵量は「7±2」だといわれ、短期記憶では5桁~9桁の数字しか覚えられないことになります。ですから、より長く覚えておくためには長期記憶で貯蔵する必要があるというわけです。

 

昔から、何かを暗記するとき、何回も復唱することがあったと思います。この方法を「維持リハーサル」といいます。

他にも、記憶する方法としては、体制化方略といわれるという方法があります。長期記憶にはスキーマと呼ばれる知識構造(知識の集合「知恵と知識との違い、知恵とはどのように獲得されるのか」ご参照)があり、情報をこの構造に受け入れられるように変換して貯蔵することです。

 

このような知識こそ色々な課題に対して柔軟に対応できる活性化された知識、すなわち、知恵といわれるものだと考えられます。

 

知識は記憶から成り、知識がベースとなり、技能や知恵として発揮されます。ですから、技能を語るときには、記憶の仕組みを理解しておく必要があります。記憶を促進する方法については、リハーサル、精緻化、構造化があります。

 

3-2 記憶を促進する方法

1、リハーサルは、何回も復唱して覚える方法です。

2、精緻化は、語呂合わせなど何かと結びつけて覚える方法です。

3、構造化は、既存の知識と新しい情報を再構成する方法です。

 

構造化は生きた知識となります。そのためには、より深い知識を獲得することですが、これを促進する方法としては、より深く考えることであり、次のような方法があります。

 

3-3 知恵(生きた知識)を獲得する方法

1、知識を整理する

2、レポートを作成する

3、上司に報告する

4、みんなの前で発表する

5、議論する

 

これらにより、より深く考えることで構造化を促進するといいます。
しかし、これらのことは、大変大きな努力を必要とします。ですから、これを実施するためには、動機付けが必要となります。

 

マネージャーが行うことは、部下の成長を願い、指導される側の立場に立つことが重要だと思います。厳しい経営を迫られている会社経営ですが、環境変化に適応していく原動力は人材によるところが大きいはずです。ですから、今後人材育成についての重要度が増加していくことでしょう。

 

3-4 知恵と知識との違い、知恵とはどのように獲得されるのか

人間は様々な経験を通して知識を蓄えています。その仕組みを考えてみましょう。

新しい情報に対して、それに関連する既存の知識が活性化されてきます。そして、その知識と新しく入ってきた情報により、その知識が更新されます。パソコンの上書き保存と同じです。その際、情報は加工されて既存の知識とマッチングされるのです。その既存の問題解決知識をスキーマと呼んでいます。

 

ここで、このスキーマを体験していただきましょう。

 

月曜日+火曜日=水曜日、水曜日+金曜日=月曜日

 

だとすると、土曜日+火曜日は何曜日となるのかお考えください。

 

答え合わせをしましょう。

 

月曜日は週の一番目の曜日であり、火曜日は2番目の曜日であり、水曜日は3番目の曜日となります。

すなわち、1(月曜日)+2(火曜日)=3(水曜日)となります。

次の式、水曜日+金曜日=月曜日は3(水曜日)+5(金曜日)=8(月曜日)は、月曜日になります。

だから、問題の土曜日+火曜日は6+2であるから、答えは8、すなわち、月曜日となるわけです。

 

色々な曜日の計算を行ってください。

 

それでは、E+Bの答えは何でしょうか。

 

Eは5番目、Bは2番目ですから、A、B、C、D、E、F、Gということで、答えはGとなります。

もうすでに答えはお分かりだったでしょう。曜日の計算を何回も行うことにより、アルファベットの計算も解くことができるようになりました。問題解決の知識を手に入れたのです。

 

このような問題解決の知識をスキーマといいますが、皆さんは新しいスキーマを獲得したのです。新しく入ってきた情報に対して、該当するらしいスキーマが活性化され、情報は加工されスキーマに取り込まれる。

曜日計算でスキーマが獲得され、アルファベットの計算でそのスキーマが活性化したのです。

 

これが、知識獲得のプロセスであり、このように、一度獲得された知識が他の問題解決に利用できることを知識の転移といい、一般的には知恵といわれるものです。

 

3-5 やる気を出させる「オペラント条件づけ」

「オペラント条件づけ」については、前にも触れていますので詳細はそちらをご覧ください。旧日本海軍の山本五十六元帥は「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、褒めてやらねば人は育たず」という名言を残しました(この言い回しには諸説があるようです)。

 

上司が部下を育成するために必要なエッセンスが書かれています。例えば、鉄砲の打ち方を教えるためには、まず、鉄砲の扱い方や打ち方を見せます。

言って聞かせてというのは、座学などで説明することです。

 

「させてみて」というのは実際に射撃訓練や銃の整備など銃の操作を体験させることです。そして、山本五十六元帥は「褒めてやらねば人は育たず」と言っています。「よし」「よくやった」など部下を励ますことです。

 

また、最近は有能なアスリートが出現していますが、彼らのように、周囲・世間から賞賛されると、それまで以上に熱心に練習をするようになります。

それは、その栄光が忘れられずに、再度、賞賛を受けたいという心理が働くからです。また、日本人ランナーが100m走でも9秒台を出すことが一つの目標となっていますが、データを追うことでもモチベーションを高めます。

 

また、アメリカの心理学者ハーロックが行なった実験によると、小学生を褒められるグループ、叱られるグループ、放置されるグループの3つのグループに分け、数回テストを行いました。結果は、褒められるグループの成績が一番良くなったということです。

つまり、賞賛(褒めること)は人を動かす力があるのです。

 

3-6 部下を褒めるツボ

褒めることが良いといっても、おだてることではありません。マネージャーが本当に気づいた点を褒めることが必要です。

 

前にも触れましたが、褒めるときに反応しやすい「ツボ」というものがあり、そのツボを褒めるようにします。

そのツボとは、「自己関与」の高い部分です。

「自己関与」というのは、関心の高い部分で興味のある事柄や仕事などのことです。また、顔や足の長さを褒めるより、努力していることを褒めることが相手を喜びます。

 

上司「君の子供はサッカーの選手なんだって?すごいね」
子供のことは、自己関与が高いですよね。

上司「君は出社が早いね。朝早くて大変だろう」
上司「日報を見ていると、最近頑張ってるね」

 

3-7 効果的な褒め言葉

口から口で伝わる褒め言葉は、直接褒めるより効果的です。例えば、褒めたい場合、相手の友達に伝えることです。友達は「××課長が褒めていたよ」と報告することでしょう。このように、人づてに褒めることで、信頼が増します。

「最初はマイナスの評価を受け、その後プラスの評価を受ける」と喜ぶことが分かっています。ですから、褒めるためには、「君は整理が下手だけど、お客さんのウケがいいね」という具合に褒めることです。ポイントは他愛のないところをマイナス評価することです。部下を褒めるときに、「君はポッチャリだけとかわいいね」というのはダメ。気にしていることを指摘すると気分を悪くします。また、最初に褒めあげて、ガクッと落とすのもNGです。

 

3-8 ヒーロー・インタビュー

ヒーロー・インタビューとはプロ野球やサッカーの試合終了後に、「お立ち台」の上で、その試合で一番活躍した選手(ヒーロー)にインタビューすることです。会場のお客様から拍手をもらうと、次も頑張ろうという力が湧いてきます。

 

この心理を部下のモチベーションアップに応用します。仕事で自分が充実していた時期の成功体験について語ってもらうのです。これを語るとき、人の意識はその時に戻り、精神活動が活発になり、流暢に語り始めます。

 

例えば、「この会社で一番頑張って来たことは何ですか?」と質問します。

ヒーロー・インタビューには次の心理効果があります。

 

1.       モチベーションが高まる
部下に「元気を出せ!」「やる気を出せ!」と指示してもモチベーションは高まりません。そこで、ヒーロー・インタビューを部下に使うと、表情が明るくなり、元気になってきます。自分が素晴らしいと考えている体験を思い出すと、その時の感情まで思い出されます。その時の熱い想いが蘇ってくるのです。このようにして、モチベーションが高まることになります。

 

2.       近親感が高まる
上司から讃えられるのは嬉しくなり、その上司を好ましく感じるようになります。上司と部下の間も同じで、部下も良い体験を想起して、気分が良くなり、好意を感じるようになります。

 

上司は部下に、自分の成功体験を語って聞かせて、参考にするように促すものですが、上司にとっては傾聴されたことによるカタルシスの効果によりストレスの発散になるのです。ですから、世の中の上司の多くは自慢話を繰り返すことになります。部下のヒーロー・インタビューには5分もかからないでしょう。ぜひ試してあげてください。

中には、「話すようなエピソードはない」という謙虚な人もいることでしょう。そのようなときは「強いて言えば」と背中を押してやれば、少しずつ話し始め、最後には熱く語り始めることでしょう。

 

このテクニックを使うときは、相手に話をしてもらう必要がありますから、傾聴のテクニックにある頷きや合いの手を入れることです。

また、朝礼や会議などみんなの前で褒めることです。

 

成績優秀者表彰やお客様からの感謝の手紙をもらった時など褒めましょう。そして、本人のコメントをもらいます。まさに、ヒーロー・インタビューです。そして、「また、頑張ります」と言わせれば、全員の前で約束したことと同じですので、自分の言動が一貫したものにしたいという欲求(一貫性の原理)が働き、頑張らざるを得なくなります。

 

3-9 人を動かす「承認」のテクニック

ここで述べるのは、コーチングスキルの中から、部下の営業マンのモチベーションを高める承認のテクニックです。承認とは相手の存在や行動を認めることです。

 

昔なら、猛獣から身を守る欲求や食べ物を確保する欲求が人間の欲求でした。その後、社会や組織に受け入れられる欲求を持つようになりました。そして、最近では、他の人から認められたい、尊敬されたいという「自我の欲求」を持つようになりました。これは心理学者マズローが提唱した「欲求段階説」です。

 

このように、現代日本人の最も強い欲求は、プライドが高まるようにしたいという欲求なのです。人を動かすためにこの欲求を使うのが承認のテクニックです。

 

1 努力に対する承認

人間には自分の努力を認められたいという欲求があります。そこで、部下の努力にフォーカスを当てて承認・評価するテクニックです。これにより、部下はモチベーションを高めます。
部下が受注してきたとき、普通の上司は「受注おめでとう」で終わってしまいますが、これでは効果が薄くなります。これに対して、「受注おめでとう。雨の日も雪の日も通い続けた努力が実ったね」と評価すると、部下は、努力が認められて、「そこまで見ていてくれたのか」と大きな喜びとなり、また頑張ろうということになります。
また、残念ながら受注を逃した時、「また頑張れ」と言われてしまうと、「頑張ってきたのに」ということでイラっとなってしまいます。ですから、「残念だったね。朝早くから夜遅くまで頑張っていたのに」と言われると、受注を逃したショックも軽くなります。

 

2 長所に対する承認

次は、長所に対する承認です。日頃から観察して本人の良い点を見つけ出して、具体的に伝えて、本人の能力を引き出すテクニックです。
「君がいると、職場が明るくなるね」
「君ほどお客さんを大切にする人はいないね」

いずれにせよ、営業マン本人をよく観察しないと使えないテクニックです。

 

3-10 承認の基本になる3つの気持ち

マネージャーは、組織の目標を達成すること、組織の将来像に向けて基礎を作り、部下の育成という責務を負います。承認のテクニックは効果的な心理テクニックですが、部下の育成という責務を忘れてしまうことでは、承認のテクニックは使えません。

 

そこで、承認のテクニックを使うための3つの気持ちについて説明します。部下を育成するためのポイントは、まず、従業員の可能性を信じることにあります。人材は伸びる可能性を持っているというのが前提です。

 

1.       感謝する気持ち
部下は、会社のために働いてくれる仲間です。マネージャーは、組織を代表して、会社からの目標を達成する責務を負っています。自分ひとりだけでは会社の目標とする売上を達成することはできません。それが、自分は部下より偉いと考えていると、感謝することができずに、承認のテクニックを使用することができません。

 

2.       尊敬する気持ち
部下といえども、一人の人格です。その意味から、部下を尊重する必要があります。尊敬する能力がなければ、部下は仕事をして、売上を伸ばすツールに過ぎなくなります。ツールは自分の思い通りに動くものであり、尊敬の対象にはなりえません。尊敬する気持ちがなければ、承認することは難しいものです。

 

3. 愛する気持ち

部下を思いやり、支援する能力とも言えます。部下は、将来、会社を背負っていく貴重な後継者です。愛情を持って育成していこうという気持ちがなければ、承認のテクニックは使えません教育者の心構えについて触れたいと思います。これは、カウンセリングやコーチングにも通じることです。


そして、部下の可能性を信じていただきたいと思います。全ての人は伸びる可能性を持っています。それが脱落していくのは、部下の問題だけではないとお考えいただき、部下の話はじっくり聴いて欲しいのです。

 

井戸端会議やガールズトークで雑談するだけでストレスが発散されますが、自分のことを理解してほしいという欲求があります。それが満足することでストレスが発散するのです。

 

自分の意見を口に出すことは、自分の考えを再構成することに役立ちます。発言の最中に気付きが起こることがあります。ですから、部下の発言はじっくり聞いて、さらに発言を促すようにすることが重要なのです。そのためには、相槌を打ったり、「なるほど」など肯定的な合いの手を入れたりしながら、相手を受け入れる態度が有効です

 

これらの3つの気持ちが欠けている方が、承認のテクニック使用する場合は、砂上の楼閣になりかねませんので、考え方を変更する必要があります。日頃の部下の様子をしっかりウォッチングしておく必要があります。

 

4 メンタルヘルス ストレス・マネジメント

営業マンはお客様と会社に挟まれ、社内各部門の間で行ったり来たり、営業成績に追われ、上司からお尻を叩かれるなどストレスのたまりやすい職種です。最近では、メンタルマネジメントに取り組む企業も増えてきましたが、過労死基準を超えるような企業もあるようです。どのように体制が整ってもストレスが根本的になくなるものではなく、逆に社会的にはストレスが増加しているのが現実です。

そこで、個人・上司レベルで行われるストレス・マネジメントの方法について紹介します。

 

4-1 ストレス源を排除する

ストレス・マネジメントで最も効果的なのが、ストレスの原因を排除することです。例えば、セクシャル・ハラスメントやパワー・ハラスメントがあれば、担当部門に通報します。人間関係が問題であれば、直接話し合いをします。担当する顧客や上司がストレッサーになる場合は異動や担当変更を申し出ます。

 

4-2 ストレス解消法の例

とはいうものの、「1」のことは、逆にプレッシャーになることもあります。そういう場合には、ストレス発散法を使ってストレスと付き合っていく必要があります。そのストレス発散法をストレス・コーピングと呼びます。ストレス・コーピングをたくさん用意しておく必要があります。自分のストレス・コーピングのレパートリーのことをコーピング・レパートリーといいます。その例を紹介します。

 

①      食べること
食べることは、一番簡単なストレス・コーピングになりますが、これだけをストレス・コーピングにしますと、食べ過ぎて肥満になってしまいます。

 

②      おしゃべり
アフター・ファイブでの上司の悪口やガールズトークはストレスを発散します。話を聞いてもらうことで、心の中のストレスが吐き出されるためです。

 

③      趣味・気晴らし
カラオケや釣り、読書、旅行など頭の中のストレッサーを追い出すことで、ストレスから解き放される時間を作り出します。

 

④      有酸素運動
ウォーキングやジョギングなどを行うとストレスを抑える脳内ホルモンが分泌されます。

 

⑤      適度なアルコール
適度なアルコールも心地よくさせてくれ、ストレスを軽くさせてくれます。

このように、あなた用のストレス・コーピングを用意して、ストレスを感じたら使うようにしましょう。

 

1-5-3 脳内ホルモンによる改善

ストレスは脳内ホルモン(脳神経と脳神経の間の刺激を運ぶ物質)と関係しています。私たちは、危険があると、ノルアドレナリンやアドレナリンが分泌され、不安や恐怖を感じ、鼓動が早くなり、血糖値が高くなり、筋肉に血液が送り込まれ、危険に備えます。これがストレスです。これが、慢性化すると厄介なことになります。ストレス・コーピングのためには脳内ホルモンを利用することをおすすめします。

 

脳内ホルモンの利用法

 

①      朝日を浴びる
朝日を浴びることで、セロトニンという脳内ホルモンが分泌されます。セロトニンはノルアドレナリンやアドレナリンを抑え、精神を安定させる効果があります。ストレスが蓄積すると、睡眠不足に悩まされることがあります。その点、朝日を浴びるとセロトニンが分泌され、十数時間経過するとセロトニンがメラトニンに変化します。メラトニンは睡眠に導く物質でもあり、良質な睡眠に導入する効果があります。

 

② 運動

アメリカのプリンストン大学は、運動をすると、ストレスを受けても、精神活動が阻害されにくくなるとの研究によると報告しました。つまり、ストレスに強くなるということです。
山登りをし始めたときや走り始めたとき、最初はキツイですが、しばらくすると楽になります。これは、脳内ホルモンのベータ・エンドルフィンが作用した結果です。そして、しばらくすると、セロトニンが分泌され、幸福感などの精神が安定します。

 

③ 噛む

ガムやサラダをよく噛むことで、セロトニンが分泌されます。セロトニンは食欲を抑制しますので、ストレス太りを予防し

 

4-3 その他

その他のストレス解消法について、次のような方法があります。

①      鏡を見る
ハーバード大学は、仕事中にイライラしたときに鏡を見ると精神が安定するということを発表しました。イライラした時に我慢せずにトイレに行って鏡を見ましょう。

 

②      6秒我慢する
怒りが収まるまでにどのくらいの時間がかかるのかを調べた実験があります。その実験によると、怒ると交感神経の活性化しますが、交感神経の活動レベルが低下するまでの時間は、6秒だということがわかりました。怒りを感じた時には、落ち着くようにして、1から6まで数えると、怒りが静まります。

 

③      笑うこと、スキンシップ
笑うことやスキンシップについても気持ちを安定させるセロトニンが分泌されストレスを発散します。

 

④      ストップ法
ストレス場面が頭から離れないケースがあります。

 

4-4 上司の役割

部下が落ち込んでいる、元気がない、笑顔がなくなった、など部下の様子がおかしいと感じたら、面接をしてください。その時は、部下と面接をして、受容、共感、傾聴のテクニックを使ってください。それでも、治らなければ、産業医や会社の担当部門と相談してください。

 

4-5 注意点

健康なうちは、自分が心の病になったら、専門家に相談できるとお考えの方も多いと思います。しかし、実際にこの病にかかってしまうとそのような冷静な判断ができなくなってしまいます。早めに上司に相談する良いでしょう。

 

5 コラム ネガティブ思考を追い出す ストップ法(思考停止法)

「プレゼンに失敗しそう」「お客様から嫌われているに違いない」「商談に失敗しそう」や昔の失敗を思い出して忘れられない、という謂れのないネガティブな思考がこびりついて払拭できないことがありませんか?

 

このようなネガティブ思考を軽くするするストップ法(思考停止法)という方法を紹介します。「お客様から嫌われているに違いない」「商談に失敗しそう」という思考が頭の中を支配していても「ストップ!」というだけです。

 

そうすると、これらのネガティブ思考がスーっとしぼんでいきます。これらの思考は記憶ですから、全く記憶から消失するものではなく、「しぼむ」と表現するほうがあたっています。

 

ストップ法の効果

私たちは、理性ではこのようなネガティブ思考が理由のないものであることは十分理解しています。しかし、このネガティブ思考は理性を介さずに行われるものですから、自動的に落ち込んでしまいます。理性でコントロールするきっかけを作ってやれば、冷静になりネガティブ思考から脱却できるというわけです。そのきっかけが「ストップ!」という気合です。

 

ストップ法を使いこなす

ストップ法を使いこなす具体的な方法について説明します。

ストップ法を使いこなすポイントは、ストップ法(思考停止法)の効果を実感することと、そして、それを繰り返して実感を確かなものにしていきます。このようにしてストップ法身につけることができます。

 

1.       緊張・不安を感じたときに浮かぶ具体的なイメージや考えを思い出す
例えば、ガティブ思考が頭の中を支配したときの「お客様の気分を害した」「周りから嫌われている」などのイメージを思い出します。

 

2.       このイメージや考え中からを1つ選びアラームをセット
例えば、「周りから嫌われている」というイメージを思い出して、時計やスマホなどのアラームを3分後にセットします。
目を閉じ、「周りから嫌われている」イメージや考えについて具体的な状況を思い浮かべます。

 

3.       「ストップ!」と叫ぶ
3
分が経過して、アラームが鳴ったら、「ストップ!」と叫びます。このとき、立ち上がったり、万歳したり、手を叩くなど別の行動を伴うと、さらに効果的です。

 

4.       効果を実感する
この結果、頭の中にあるネガティブなイメージが小さくなるはずです。叫ぶことや立ち上がるなどの行動に注意が向くからです。ネガティブなイメージが小さくなったと感じられたら、それが、ストップ法(思考停止法)の効果です。効果を実感してください。

 

5.       これを2~3回繰り返せば、ストップ法(思考停止法)の効果が確証に変わり、ストップ法(思考停止法)を使いこなすことができるようになります。手帳などにこの時の状況を記録しておくと、さらに、効果を実感することができます。

 

「思考停止法」と呼ばれる心理療法では、「ストップ!」の気合で悲観的な思考をしぼませ、嫌なイメージをしぼませることができます。この技法は、カウンセリングなどでも行われている心理療法の1つですが、日常的なストレス対策にも有効です。

 

 

 

 

 

 

 

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